
2026年06月10日
税務調査対策ガイド
税務調査はAIで選ばれる時代へ|追徴税額が高水準となる背景とKSK2で変わる申告チェック
「税務調査はめったに来ないから大丈夫」と考えていませんか。近年の税務調査は、件数を増やして広く調べるのではなく、AIやデータ分析を活用して、申告漏れや不自然な数字が疑われる対象を重点的に確認する方向へ変わりつつあります。
さらに、2026年9月には国税庁の次世代システム「KSK2」の稼働が予定されており、申告情報や資料情報のデータ活用はより進むと見られています。本記事では、AI時代の税務調査で何が変わるのか、経営者・個人事業主が今から備えるべきポイントをわかりやすく解説します。
1. 税務調査は「件数」から「精度」の時代へ
国税庁が公表している近年の調査事績を見ると、税務調査のあり方は大きく変わりつつあります。特徴的なのは、調査件数が必ずしも大幅に増えているわけではない一方で、追徴税額が高水準になっている点です。
これは、税務署がやみくもに調査件数を増やしているのではなく、申告内容や資料情報、過去の調査結果などを分析し、申告漏れの可能性が高い対象を効率的に選んでいることを示しています。
過去の申告・調査データから不自然な傾向を抽出
追徴につながる可能性が高い対象を優先
少ない件数でも1件あたりの追徴額が大きくなりやすい
「税務調査が減ったから安心」とは言えない
実地調査件数だけを見ると、「調査される確率は低い」と感じるかもしれません。しかし、AIやデータ分析の活用が進むことで、調査対象に選ばれた場合の精度は高まっています。
つまり、これからの税務調査では「運悪く選ばれる」というよりも、「申告内容に説明しにくい点があるため選ばれる」可能性が高まっているのです。
2. 国税庁のAI活用で何がチェックされるのか
国税庁は、申告漏れの可能性が高い納税者や法人を選定するために、AIやデータ分析を活用しています。AIが税務調査を直接行うわけではありませんが、調査官が調査先を選ぶ際の重要な判断材料になっていると考えられます。
AIが見ているのは、単純に「経費が多い」「売上が少ない」といった表面的な数字だけではありません。同業種・同規模の事業者との比較、過去数年の推移、消費税や源泉所得税など他の税目との整合性も含めて、異常値がないかを分析します。
AIにチェックされやすい申告の特徴
| チェックされやすい項目 | よくある問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 経費率が高い | 同業平均と比べて外注費・広告費・交際費などが高い | 契約書、請求書、成果物、支出理由を残す |
| 売上が急に減っている | 売上除外や計上時期のズレを疑われやすい | 取引先変更、事業縮小、季節要因などを説明できるようにする |
| 雑費が多い | 内容不明の支出が多く、説明が難しい | 適切な勘定科目に分け、摘要欄も具体的に記入する |
| 税目間で数字が合わない | 法人税、消費税、源泉所得税、支払調書などにズレがある | 会計ソフト・給与計算・請求書管理を連携させる |
AI対策で大切なのは「不自然に見えないこと」ではなく「説明できること」
AIに検出されないように数字を調整することは、本質的な対策ではありません。むしろ重要なのは、数字に合理的な理由があり、証拠書類によって説明できる状態にしておくことです。
経費が多い年でも、事業拡大のための広告費、外注費、設備投資など理由が明確であれば問題になりにくくなります。一方で、領収書はあるものの内容があいまいな支出や、売上との関連性を説明できない支出は、税務調査で確認されやすくなります。
3. 2026年9月のKSK2導入で何が変わるのか
KSKとは、国税庁が納税者の申告・納税情報などを管理するために使っている国税総合管理システムです。2026年9月には、この国税システムの更改が予定されており、次世代システムは一般に「KSK2」と呼ばれています。
KSK2の導入によって、税務署側の情報管理やデータ処理はさらに効率化されると考えられます。特に注目すべきなのは、申告書や申請書などの書面情報についても、AI-OCRを使ってデータ化される方向が示されている点です。
図解:KSK2導入後の税務調査イメージ
↓
AI-OCRやe-Taxでデータ化
↓
申告内容・資料情報・過去データを分析
↓
不自然な点や税目間のズレを抽出
↓
調査官が確認し、必要に応じて税務調査へ
「紙で出しているから見られない」は通用しにくくなる
これまで紙で申告していた事業者の中には、「電子申告ではないからデータ分析の対象になりにくい」と考える方もいるかもしれません。しかし、AI-OCRによる書面のデータ化が進めば、紙の申告書や申請書もデータとして扱われやすくなります。
そのため、今後は提出方法にかかわらず、帳簿・請求書・領収書・インボイス・通帳・給与データなどの整合性が重要になります。
インボイス制度・電子帳簿保存法との関係
インボイス制度や電子帳簿保存法も、税務情報をより正確に管理する流れの一部といえます。適格請求書の保存、電子取引データの保存、検索できる状態での管理が求められることで、税務署側も取引内容を確認しやすくなります。
事業者にとっては負担に感じる部分もありますが、きちんと整備しておけば、税務調査時に自社を守る証拠にもなります。
4. 経営者・個人事業主が今すぐやるべき対策
AIやKSK2の時代に重要なのは、税務調査を過度に恐れることではありません。日々の経理を正しく行い、いつでも説明できる状態にしておくことです。ここでは、今すぐ見直したいポイントを紹介します。
対策1:経費の内容を具体的に記録する
領収書を保存しているだけでは十分とはいえません。誰と、何のために、どの業務に関連して使った費用なのかを説明できるようにしておく必要があります。
- 会議費は参加者・目的をメモする
- 外注費は契約書・成果物・請求書を保存する
- 広告費は掲載内容や配信結果を残す
- 雑費はできるだけ具体的な科目に振り分ける
対策2:売上の計上ルールを統一する
個人事業主やフリーランスで起こりやすいのが、入金日ベースで売上を処理してしまうケースです。原則として、売上は取引が発生したタイミングで計上します。
請求日、納品日、入金日が混在していると、年度をまたいだ売上のズレが生じやすくなります。期ズレは税務調査で確認されやすいポイントのため、毎月の段階で確認しておきましょう。
対策3:インボイスと電子帳簿保存法に対応する
消費税の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の保存が重要です。また、電子取引データは電子データのまま保存する必要があります。
ファイル名を統一し、取引先名・日付・金額で検索できる状態にしておくと、税務調査時にもスムーズに説明できます。
対策4:申告前に不安な点を整理する
売上が急に増減した年、大きな設備投資をした年、外注費や交際費が増えた年は、申告前に不安な点を整理しておくことが大切です。
「なぜこの数字になったのか」「証拠書類は残っているか」「前年と比べて大きく変わった理由を説明できるか」を確認しておくことで、税務調査時の不安を減らしやすくなります。
税務調査対策の基本は「隠す」ではなく「説明できる」
AI時代の税務調査対策は、数字を小手先で調整することではありません。売上、経費、通帳、請求書、インボイス、給与、源泉税、消費税が一貫して説明できる状態を作ることが重要です。
まとめ:AI時代の税務調査は、日々の経理体制で差がつく
税務調査は、従来のように調査官の経験や勘だけで選ばれるものではなく、AIやデータ分析を活用して、申告漏れの可能性が高い対象を効率的に抽出する時代へ進んでいます。
さらに、2026年9月に予定されているKSK2の導入により、紙の申告書も含めたデータ活用が進むと見られます。今後は、法人税・所得税・消費税・源泉税・インボイス・電子帳簿保存など、複数の情報がより整合的に確認される可能性があります。
経営者や個人事業主が今すぐ行うべきことは、税務調査を恐れることではありません。経費の内容を具体的に残し、売上計上のルールを統一し、インボイスや電子帳簿保存法に対応し、必要に応じて申告内容を見直すことです。
AI時代の税務調査対策で最も重要なのは、「いつでも説明できる帳簿」を日常的に作ることです。
SEO想定キーワード
税務調査 AI、税務調査 追徴金、税務調査 追徴税額、国税庁 AI、KSK2、国税総合管理システム、税務調査 対策、税務調査 個人事業主、税務調査 法人、税務調査 経費、税務調査 インボイス、電子帳簿保存法 税務調査、AI 税務調査 対象、税務署 AI、追徴課税 対策、申告内容 見直し、申告漏れ AI、税務調査 フリーランス、税務調査 売上漏れ
参考:国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」、国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」、国税庁「国税システムの更改について」、e-Tax「国税システムの更改に伴うe-Tax仕様書等の情報提供について」
ソクデル
〒101-0045 東京都千代田区神田鍛冶町3-7-3 花瀧ビル2F
TEL:03-3518-5211
公式サイト:https://www.sokuderu.com/
カテゴリ:ソクデルニュース

お申込みはこちら
